私は平成12年に社会保険労務士試験に合格しました。しかしその時は、開業するということは全く考えていませんでした。
そのような私が開業を意識したのは、サラリーマン時代の経験からです。
私が勤めていたある会社では、私が入社してから半年ほど経った頃に、資金繰りの悪化が急に表面化しました。以前からそのような雰囲気はなんとなくあったのですが、社員の給料が期日に振り込まれなかったことで、すべての社員が会社の危険な状態を知ることになりました。
これをきっかけに、以前からあった社長と役員との対立が激化し、その結果、この役員が担当していた経理・総務関連の仕事を私が行うことになりました。
そのようななかで、
雇用保険の資格取得手続きをしていない社員が何人もいることが分かり、遡って手続きをしたり、
滞納していた社会保険料の納付について、社長と共に社会保険事務所に出向き、納付に向けた話し合いに同席したり、
労働保険事務組合への費用が支払えず、さんざん督促された末に結局解約の手続きを行ったり、
といった、通常サラリーマンではあまり経験することのない経験をすることになりました。
この間に、社員の不安はどんどん高まり、社長と役員の対立が社員にも広まっていきました。
さらに、社長と従業員との対立、社員同士の対立がエスカレートしてしまい、会社の組織が空中分解し、実質的に倒産した状態になってしまいました。
残務整理で、元社員の離職票を書いたり、未払い賃金の立替払いの申請(倒産状態になるまでに給料の未払いが何度もありましたので)の準備をしたりしながら、
資金繰りが悪くなった時点で、対立するのではなく全員が協力していれば、ここまでひどい状態にはならなかったのではないか、
そして、
会社と従業員がお互いに協力できる体制を普段からつくっていくべきだったのではないか、
と考え、一社員ながら自分の知識を発揮する場があったのではないか、と感じずにはいられませんでした。
しかし、それと同時に、他の人がこのような嫌な経験をしないためにも、自分の経験を糧にして、今後、いろいろな会社やそこに勤める方々のために役に立てることがあるのではないかという思いが強くなってきました。
このような思いを持ち、私は社会保険労務士事務所を開業し、現在に至っています。
